22世紀の民主主義

SB新書

選挙は、アルゴリズムになり、政治家はネコになる。とのなんとも可愛い副題がついている。

著者 成田 悠輔 氏

著者の成田悠輔氏は、2019年頃からマスコミへの露出が増え、いわゆる“歯に絹きせぬ”発言で話題となった。

中でも「高齢者集団自決するべき」との発言は、記憶に残っている人が多いのではないか。

前後の文脈を見ないで騒ぎ立てるマスコミもどうかとは思うが、なかなか尖った発言ではある。

大学も東京大学大学院経済学研究科で修士を取った後に、アメリカ イェール大で経済学博士を取得。

計量経済学のプロフェッショナルである。

弟さんの成田修造さんは、クラウドワークスの取締役兼CINO(最高イノベーション責任者)とのこと。

民主主義の劣化と資本主義の暴走

本書は、劣化した民主主義をどう立て直すかという内容である。

選挙における欠陥点を列挙して論じている。

人口構成比による“世代間格差”、間接民主制による民意を汲み取らない制作の実行、知名度を上げるためだけに過激な発言をする政治家、SNSによるフェイクニュースや意見の偏りなどを上げている。

かの有名な外山恒一氏の有名な発言「選挙じゃ何もかわらないんだよ」が引用されていた。

自分が中学生のときに流行した伝説の政見放送だ。なつかしい。
知らない人は、是非見てほしい。

ユーケンシャのショクン! 私が外山恒一である!

これらの問題により民主主義が劣化してしまい。

資本主義を抑えて置かなければならない力すら失いつつあるという。

新しい「無意識民主主義」の提言

著者は、現在の選挙制度を元にした民主主義に代わるものとして新たに“無意識民主主義”なるものを提案している。

具体的に言うと、防犯カメラやセンサーなどで、我々の無意識な幸福行動を読み取って、それらの行動が最適化されるように制作意思決定がなされるという仕組みである。

なぜ、無意識にしなければならないのか。

それは、我々人間は、意識的に投票行動などの意思決定を行う場合には、利害関係などのノイズが発生する。
これらを除くために“無意識的な幸福”を数値化してそれを最適化するアルゴリズムを組み立てて政策意思決定をしようとの提言である。

実に計量経済学者らしい発想である。

副題 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる

このようなアルゴリズムによる意思決定が行われる場合、政治家は不要になる。つまりネコでもいいのだ。

本書の中では、アルゴリズムという人格を持たないものに意思決定をさせることが不安であるから、好かれやすい政治家の代役ネコ、嫌われ者としてゴキブリでも立てとけば?という話だ。

君らの神の正気は一体どこの誰が保障してくれるのだね?

アニメ「HELLSING」の登場人物 少佐ことモンティナ・マックスのセリフだ。

デカルトは、方法序説の中で真理の探求の方法として、一番最初の土台として“神”を置いた。

その神の正気に対する疑問だろうか。

私は、もし“無意識民主主義”とやらを可能にするアルゴリズムが作れたとならば、そのアルゴリズムの正気は、誰が担保するのだろうと思う。

おそらく現状の投票行動を主とした民主主義よりは、幾分マシという回答が返ってくるのでないかと思う。

完全な制度など作れないのだ。

まとめ 

本書を読んでいて現在の民主主義が抱える問題提起については、かなり的をいていると感じた。

税負担などの世代間格差、フェイクニュースや過激な発言を行う政治家の発言、物事を長期的な視点かつ本質的に捉えることができない有権者など実際の研究事例を取り上げながらの発言は、かなり説得力がある内容だ。

しかしながら、具体的な改善策や提言については、全体を通してSF小説でも読んでいるような気分にさせられる。

著者くらい優秀な頭脳を持つとアルゴリズムによる“無意識民主主義”が、現実的なものとして捉えることができるのであろうか。

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